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スウェーデンの人達にとって、中部のダーナラ地方は心のふるさとであると聞きました。

この地方にあるファールンという都市は、かつて銅の採掘で栄え国の産業の中核を担った重要な都市でした。

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ファールンの大銅山地域は2001年に世界遺産登録され、採掘場跡を見学する事が出来ます。

千年前頃にはすでに銅の採掘が開始されていて、全盛期には世界の銅の3分の2を産出したそうです。


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真ん中にある大きな穴は直径400m深さ100m程あり、1687年6月の大規模な落盤事故で出来ました。

偶然にも事故当日は夏至祭の祝日のため作業員は一人も居らず、人的被害はありませんでした。
夏至祭は聖ヨハネの祝日、信仰心のおかげで救われたと信じられています。

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みんなこの期間に合わせて夏休みを取ったり、街中で歌ったり踊ったり、伝統的な郷土料理を食べて、楽しく賑やかに過ごします。

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きっと一年で最もウキウキする時期だと思うこのころの写真です、カラッと晴れた気持ちの良い日でした。

長かった冬から春を経て、人も町も陽の光を存分に浴びて生命力を充電しているかのように見えます。

澄んだ空のブルーに深く赤い外壁が映えていますが、これはファールンレッドと呼ばれる顔料の塗料で仕上げられた木板壁です。

この赤は、まさにスウェーデンのお家のイメージのままですね。
銅を精錬する際に出る廃棄物から採れる鉱物性の顔料は、防腐効果と美しい色合いを兼ね備えた塗料となり広く愛用されました。

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今年2018年は、日本とスウェーデンが国交樹立150周年の節目だそうで、カール16世グスタフ国王陛下とシルヴィア王妃陛下が来日されている様子をニュースで拝見しました。

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スウェーデンの薪ストーブContura/コンツーラは、主張し過ぎず上品なデザインと高い質感、エアタイト構造で素晴らしい燃焼が定評のブランドです。

ファールンの赤色と、Conturaストーブの佇まいからは不思議と「わびさび」を感じるような気がしています。

石村 学

2018.04.23 | 火男(ひょっとこ)日誌 | トラックバック(0) | コメント(0) |

スウェーデンの薪屋さんの敷地内にある無人販売所 
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何センチの薪が入りますか?
ストーブ選びのお客様によく聞かれる質問の一つです。

チェーンソーの無かった昔は手ノコで原木を玉切りしていましたので、薪は割るのよりも切る作業が大変でした。
その名残りかは分かりませんが、長い薪が使えるストーブはちょっと得した気分なのかも知れません。

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北欧の実情では最適な薪のサイズは35cmだそうです、そして白樺の木が人気。
日本で人気(?)の長さ45cmに比べるとやや切る回数は増えますが、チェーンソーや薪割り機のマシーンがあれば昔ほど大変さの差は無いですし、それ以外ではこの長さの方がメリットがあります。

・ 一年の乾燥でしっかり乾いてくれるし、それなりに火持ちも良い長さ。
・ 保管しやすく運び易いので、女性でも扱い易い。  
・ 白樺は油分があって火付きが良く燃え上がりが良い、でも火力が強すぎず炉内のパーツに優しい、等々。

かなり前から北欧やヨーロッパの薪ストーブの多くは35cmの薪を使う前提で設計されていて、炎と空気の流れ絡みまで含めてデザインされているそうです。
そして、たとえ50cmとか長い薪が入る機種でも、実際に使うのは35cm薪です。
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なるほどスウェーデンの薪屋さんでも、薪は35cmのワンサイズで統一されていました。
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ストーブ先進国は、製作者・薪屋さん・ユーザーさんの共通認識が総合的で深い気がします。
これから日本でもモダン型と呼ばれる機種のシェアが拡がると思いますが、35cm薪の認識があるとさらにストーブの見え方が新しくなるのではないでしょうか。

石村

2018.04.13 | 火男(ひょっとこ)日誌 | トラックバック(0) | コメント(0) |

僕の大好きな木版画です。
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飯山英男さんという方の作品で、8年ほど前、飛騨高山で偶然出会いました。

他にコレクションがある訳では無いので、
こんな言い方はおかしいのですが「これが一番好き」なのです。

ちょっと寒い時期なのでしょうか、題の通り、星が綺麗に見える季節、裏の乗鞍岳を囲んで山々は真っ白です。

今日のようなうんざりする暑さの日、ふと眺めては、
「きっとこの家々の中、薪ストーブの炎が揺らいでいるのだ」と想像すると、夕食のテーブルを囲む笑い声が聞こえてきそうで、ホロホロした気持になります。

だからこの作品、他は知らないけど、「これが一番好き」。
ストーブユーザーさんなら、きっとこの気持ちがお解りでしょう、ご自宅の愛用の一台、まさにその境地ですよね。

「好き/嫌い」すごく人間臭く、勝手気ままな判断基準ですが、直感的に心を動かす感性、比較や分析にも縛られない自分だけの『ココロの物差し』。
時には、こんな柔らかな基準に自信を持って胸を張れるよう、さらに楽しく豊かな気持ちを育み、磨きをかけていきたいと願う今日この頃です。

それにしても凛とした冬の空気が恋しいです。
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子供たちは、冬も夏も楽しい事がいっぱい、とくに夏は開放感満点です。
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とびこみ


季節が巡って、肌寒くなり、自宅のストーブに火を入れるその日を想像しつつ、もうしばらくの間、この暑苦しい夏を楽しく健やかに乗り越えたいと思います。

暑中お見舞い申し上げます。


〈石村まなぶ〉

2013.08.13 | 火男(ひょっとこ)日誌 | トラックバック(0) | コメント(0) |

「古民家の改修の現場で薪ストーブを入れたい!」  ……この言葉をお客様から聞くと、胸がトキメキます。
なにより、古民家や日本の懐かしい情景、温かみのある営みそのものが好きなのです、とても。

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子供の頃から、古い建築や民具、古道具などを見に行ったり、興味は尽きません。

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古民家には日本古来からのファイヤープレイスである、囲炉裏があります。
この囲炉裏に代わって、薪ストーブが入り、もう一度本物の火を招き入れようとするのですから、
それはもう、わくわくせずには居られません。
熾き火

築150年の農家、薪ストーブの導入は、今は亡きお母様の発意を受け継いでの施主様のご希望でした。
床を張替え、壁を塗り直し、サッシの断熱性を高めたシンプルな改修工事。
ご相談から10ヶ月を経て熟慮の末、選定された一台が、DOVRE760CBでした。
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150年前の当時、竹とワラ縄で造った下地(竹小舞)に地元の泥を下塗りし、漆喰で仕上げた壁に、開口を作る。
輪郭の切り込みに沿って手作業で壁を掻き出す。
大胆かつ慎重に…、緊張感いっぱいの瞬間。
土壁壊し



アウターサポートの渡し木
柱と柱の間隔は四尺(約120cm)。
耐食性のある栗材を耳付き板のまま柱間に渡して、煙突を支えるサポート金物の固定下地とする。
パッと見、元からあった梁のようです。建物のイメージを壊さないよう配慮する感覚は自然と沸くものです。

炉壁にはALC板を埋め込み、廻りの壁と同じく漆喰塗り。「和・素朴」を意識した計画です。
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この横幅800mm弱にもなるドブレの最大機種、私は親しみを込めて、「ジャンボ」と呼んでいます。
敬愛するジョン・レノンが自身のギターを「ジャンボ」と呼んでいたことに因んでいます。

わたしの言う「ドブレ・ジャンボ(760CB)」ですが、
「JUMBO」の「J」は、時に「JAPAN」の「J」でもあります。

和瓦のような黒鉛色のボディー、直線的でありながら柔らかな弧を描いて収まるプロポーション、シンプルで潔いデザインなど、不思議と日本的な雰囲気を持っているストーブとして映るのです。

もちろん燃焼の素晴らしさも折り紙付きです。
ゴロンとした特大の薪を投入して、大きな窓に揺らぐ、とびきりスローで美しい二次燃焼を見ていると…
まさに現代に蘇った囲炉裏でしょうか、これ。

クラシックラインの薪ストーブそれぞれが皆、日本の古民家にすごくマッチすると思いますが、
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囲炉裏の現代版として、その役割を引き継ぐ存在感ある機種といったら、それは、
『 YES! ドブレ・ ジャンボ!! 』…… 勝手に名付けてごめんなさい。


【後記】
拙宅に薪ストーブ導入前、私が使っていた石油ストーブ「アラジンひょっとこカスタム」…、
懐かしくて暖かい炎への憧れがあったのです。どうしても火が燃やしたかったのかな(笑)
アラジン

〈 石 村 まなぶ 〉

2013.08.05 | 火男(ひょっとこ)日誌 | トラックバック(0) | コメント(0) |

アントワープのデザイン博物館では、たくさんの工業デザインや家具などに刺激を受けました。
デザイン
デザインって不思議ですよね。
出来上がったモノ(作品)を見て、作者の意図をすべて読み取ることはきっと無理でしょう…

けれど、生活の中にはすごく分りやすいデザインもたくさん溢れていて、
パッと見、何気ないモノも「色々考えられてこんな姿に生まれたのか。」と気付いた瞬間から、そのモノがとても好きになっていたりします。ここ、ベルギーでもそんなCopinを見つけてしまいました。
フォーク付クレーン

クレーン車とフォークリフトが合体したような作業車。
集合住宅の2階以上の部屋の窓に、外からこの先っぽをセットして、工事の道具や材料を搬入したり、引越しの荷物を載せたり。
何度か見かけたけど、とても合理的で作業は楽々でした。一度使ったら、手放せない相棒になりそうです。

こちらは、使い方を知りたいほう、
プチコパン
三代続くストーブ屋さんで、見つけて尋ねてみたのですが、「百年前の骨董品だよ!」としか。
すごく小さくて、高さ40cm程、ああ、もっと詳しく聞いておけば良かった、余計に忘れられない可愛らしさです。


ゲントのワッフル店MAXのおじさん。カラフルなメガネの意図は分りませんが、
maxボス

ワッフル2大
粉砂糖がたっぷりかかった、さくさくのワッフル! 
素朴で優しい味のワッフルと、フルーティーなビール「ローデンバッハ」の相性はどうだったでしょうか。

それはさておき、
DOVRE640CB・760CBの炉床がまさに「ワッフルプレート」と呼ばれていますよね。
数あるストーブ機種の中でも、ワッフル状の炉床なんて見たことがありません。
ワッフル食べながらひらめいたのでしょうか、機能美とシャレっ気を兼ね備えたデザインです!
炉床
このワッフル状の炉床は、たくさんの灰を溜めて、フカフカのアッシュベット(灰床)を作ることが出来ます。
灰床のあるストーブは、無いものに比べて、熾き火の持ち具合、蓄熱性が大きく違い、DOVRE特有の美しいオーロラ燃焼も灰がしっかり溜まっているほど、きちんと現れると思います。
また熾火が鋳物へ直に触れるのを防ぐため、素材への必要以上の熱負担を和らげてくれます。

この灰床の重要さは、当店のユーザーさんには必ずお伝えしているのですが、巷には知らずに毎日灰をきれいさっぱりお掃除してしまっている方もまだまだいらっしゃるかと思います。

どうか、ストーブの炉床も、
粉砂糖たっぷりのワッフルみたいに、(灰の)シュガーパウダーたっぷりでお使い下さい。


<いしむら>

2013.07.29 | 火男(ひょっとこ)日誌 | トラックバック(0) | コメント(0) |