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家具の展示会で、広島へ行ってきました。

広島県の府中市は、昔から高級婚礼家具の製造で有名な所です。

今は、いわゆる『婚礼家具』というのは需要が減っていますが、
せっかくの高い技術と質の良い材料を活かすべく、新たな試みをしている
家具工場があります。

弊社で最近展示したソファのフレームを作っている工場も、そんな技術高き一社です

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おそらく他社が追随しない(できない)作り込みがなされたウッドフレーム。

表面からは見えない細部にこそ、デザインを邪魔せずに強度を出す仕組みが施されているのです。



私も今回工場を見学させていただいて、とても勉強になりました!

今までにも数は多くはありませんが、国内・海外の取引先の工場を見させていただく機会があり、それぞれにこだわりの技術だったり最新のマシーンだったりと、紹介してもらうたびに感心や感動をしてきました。

デンマークのPPモブラーの工房など、「えっ、ここでウェグナーの椅子を作っているの?」と
驚くほど小さな施設でしたが、熟練の職人さんが曲げ木の加工をしているところなど、魔法のようでした。

同じデンマークでも、フリッツハンセンの工場は近代的で機械化されていました。
セブンチェアがたくさんぶらさがって塗装されていく工程は、圧巻でした。

私が見させてもらったのはもう数年前のことなので、今は状況が変わっているかも
知れませんが


話がだいぶ逸れてしまいましたが、私たち interior studio arterior が今おすすめ
している家具は、どれも、ながく使い続けていただきたい商品ばかりです。



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今度はどんなモデルのソファを展示しようか・・・

最近は、ソファを壁面寄りではなく、リビングとダイニングを間仕切るように、ほぼお部屋の
まん中に配置されるお宅も多く、背中のデザインを気にするお客様が増えてきました。

そのせいか、フレームを露出させたデザインのソファが人気上昇中です




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製品として完成してしまえば見えなくなってしまう部分にこそ、強度や木の反りなどに関わる仕込みをしておく。
木の家具は、ほんとに奥が深いです。


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山積みされた材料です。


私が見せていただいたのはほんの一部だそうですが、
これはまさに 【宝の山】

みんな家具にしてもらうのをここで何年も待っています

そして、長い眠りから覚め、いよいよ製品になるべく選別されるのですが、これがまた大変な試練で


それが『木』である以上当たり前なのですが、強度や見た目の面から、「フシ」や「シラタ」
(木の色が薄く白っぽい部分)などがあるものは、主役にはなれない。


たとえば、最初にうしろ姿を写真で紹介したウォールナット材のフレームが美しいソファ。

このソファの主役にあたるアーム(ひじ掛け)部分に抜てきされる材料は、
なんとピックアップされた材の中の1割程度

私が伺った前日に木取りを行ったということで並べられていたアーム用の板材は、
300枚の中からたった26枚しかとれなかったそうです。

もちろん、主役以外にも大事な役目はたくさんありますから、残りの274枚も
縁の下の力持ちとして家具の部材になっていきます。


ウッドフレームのソファ以外にも、無垢材のテーブルの天板なども、その選定は
熟練の腕の見せ所になります。

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このウォールナット材のテーブルの天板は、厚さが40ミリもあるんですよ!

今、これだけきれいで質が揃った材料を確保するのはとても難しいことです。

長い年月をかけて育った木を加工して、家具として使っていく。

できればその木が育った年月と同じくらいの時間、その家具を使っていきたい。



「今家で使っているテーブルがおじいちゃんが買ったものだとか、自分が気に入って使っている椅子を子どもや孫が受け継いでいってくれるとか・・・」

外国ではよくある話なのに、自分の身近ではお目にかからない。

ここ数十年の日本では、使い捨ての文化が蔓延しています。

ながく使えるものを作り、ながく愛用していく。
それが当たり前の時代もあったはず。


そういえば、うちにも「おばあちゃんの桐ダンス」があります。

きっとそんなに高価なものではないと思うけれど、祖母が亡くなってからも
それはそこにあります。

そして私は、なぜだかそのタンスを気に入っています
いつか、そのタンスを譲り受けたいなと思っています


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ちょうど来週、20年前に購入したという「Yチェア」の座面の張替え依頼を受けたお宅に
椅子を預かりに伺うことになっています。

20年もののYチェアにお目にかかるのも、またそれがペーパーコードの張替えによって
よみがえるのも、とても楽しみです


(お)




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2010.05.21 | メーカー・ブランドのこと | トラックバック(0) | コメント(0) |